合気道のすすめ

 「合気道のすすめ」

         2026年4月3日 

          流山合気道倶楽部 大岩亮太


 私の子供時代音楽を聴くにはレコードまたはカセットテープしかなかった。

 わからない言葉や物事を調べるには辞書か我が家の棚一杯の百科事典、それ以外は図書館へ行った。

カメラは現像した物を写真屋に出して現像するのに数日掛かった。

 家には8ミリビデオがあり、8ミリ幅のテープとそれを見るための映写機もあった。

 物心ついた頃にはテレビはまだ白黒でしばらくするとカラーになった。うつりが悪い時はしばしば得意の空手チョップで復活させたものだ。

 もちろん電話は黒電話しかなく、街の知り合いの電話番号は分厚い電話帳を見れば載っていた。

 小学校の頃友人が親からもらったという自慢のパソコンを見せてもらうと、その記憶媒体がカセットテープで、何ができるの?と聞くと、ただ直線運動をする点が壁で跳ね返る物を棒で打ち合ういわゆる「テニスゲーム」だった。

 小学生の低学年でゲームウォッチと言うものが流行り、そのうちファミコンが出始め、全くついて行けなくなった。

 計算機、時計、ラジオ、ビデオプレイヤー、その他その後の発展は皆さんのご存じのとおり。


 現在これら媒体は小さなスマートフォンという電子計算機に全て集約され、我々はこの上ない利便性を享受している。これは本当に便利になった。特に文字を書くことが嫌いな私にとっては思いついたことを、即時的に書き留めたり、文書化するのにこれほど便利なものはない。


最近ではAIが出現し、これもまた、便利すぎる。頭で考えていたこと、悩んでいたこと、何でも一瞬で叶えてくれる。


 そこではたと考えた。今まで何かをするために、例えば何か調べごとをするには図書館まで行っていた。テレビのチャンネルを回すのに兄弟と争いながらもひねり合いをしたり、電話をするのに街中で電話ボックスを探し小銭とかテレフォンカードを入れ電話したり、それには全て身体を動かすと言うことが伴っていた。

 AIが仕事や身の回りのメインになり始めると、無い頭を絞って、悩み尽くして、考えると言うことが少なくなった。

 いまではそれら動作や思考を瞬時にこの薄ペラい箱が叶えてくれる。まるでドラえもんの4次元ポケットの様だ。


 しかしながら、この便利さを享受され尽くされた後には我々は何が残されるのだろうか。


 この現実ともフィクションともつかない時代に、現実に何が起こっているかを見ることもなく、この勝手に送られてくる映像を見てその虚構を真実と錯覚する。 


 実態に手足動かす事を無くして、思考する事を無くした先には、おそらく現実と虚構の境目を判断する術を無くし、我々はどこまでこの『虚構話〜フィクション』に操られる時代が来るのだろう。


 この間読んだ『ホモサピエンス全史』では、人間は『認知革命』によって、虚構を信じる能力を得て、数ある人類(サピエンス)種の頂点になった。その能力を手に入れた瞬間、アウストラロピテクス等他の人類種を大量虐殺により絶滅に追いやったと言う。その能力とは、未来の約束ができる能力。つまりルールを作り、徒党を組み、敵を倒す未来の戦略を打ち合わす事の出来る能力。神を信じ、お金扱い、法律を作り、国を作る。また株式会社を作り、資本主義、共産主義等のイデオロギーを産み出した。


 しかしこれらは全て『虚構〜フィクション』の産物だと言う。


 この人間の能力は欲深いサピエンスの人口爆発をもたらし、

 この人間の能力は今日も誰かをどこかでを大量虐殺させる。


 合気道は実際に相手の手を取り合い、想定された攻防の範囲で技の掛け合いをする。

 その際の相手の手から読みとる情報を敏感に感じ取り、脳内で処理し行動に移すと言う作業を行う。

 最初は型を覚える事に必死だが、徐々にその感覚は研ぎ澄まされ、驚く様な発見が稽古のたびに訪れる。

 時には相手のこうすべき、こうあるべき等の思い込みと言う虚構をも上手く利用して技とする。相手からは思いもよらない技を受けた時には〜例えばどうして倒れたのかわからない様な〜この上ない気持ちよさを感じる。


 このふれあいは無限の思考をもたらしてくれる。


 そして正に心と身体の調和なくしては成し遂げられない事を悟るだろう。


 この感覚の伝授はデジタル化できない。

言語化も難しいだろう。絶対にAIには出来ない仕事だと思う。


 この触れ合いから無限の宇宙を感じると言う人もいる。


 はたしてこの合気道も『虚構〜フィクション』だろうか。


 実はそうかもしれない。

 


ただどうせ虚構ならこっちの虚構に騙された方がいいのではないか、と私は思う。


流山合気道倶楽部↓


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